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クソオタクの妄言録

財前光の夏

 

 書きました。「財前光くんの布教ブログ」というより「財前光を推すにあたっての感情整理ブログ」の意味合いがつよめです。

 

 

 今年の2月にテニミュを観たことがきっかけで、財前光にどハマりした。

 

www.tennimu.com

 

 友人にテニプリに人生を捧げ骨を埋める覚悟をキメた女性がいたことから、それまでも有り難いことにちょくちょく円盤を見せていただいていたりしていた。

 私は数年前にこのテニスの王子様という巨大なジャンルを通っていて、日吉若と切原赤也が好きだった。現在は身を割くような作品への情熱は落ち着きかえっていたし、ごくごく穏やかに作品への気持ちを持っていた。彼らの成長を見守る保護者の気持ちが近かったのかもしれない。

 あとは昔に諸事情*1あったせいで、実のところこのジャンルからは少し距離をおいていたというのもある。

 

 

 だから四天宝寺公演のチケットお譲りの話をいただいた時も、同窓会のような、知り合いの息子さんの晴れ舞台を見るような気持ちで眺めていた。強いて言うなら私は財前光くんが気になっていたから(舞台の彼を見るのが楽しみだなあ)という気持ちがあったぐらい。

 

 舞台の幕が上がってすぐ、側頭部を殴られたような心地になった。眩いばかりのスポットライトの下で、懸命にラケットを振っている彼らの青春の輝かしさを直で受け止めたからだ。

 

 目の覚めるような思いで見つめた一幕は、ひたすらに橘桔平の格好良さに骨抜きにされてしまった。自分が潰してしまった親友の片目と同じように、ボールを目で受け止めながらも「けじめたい」の一言で終わらせる橘さんは、あまりにも人間が出来すぎていると思う。橘桔平のことを慕う不動峰部員の気持ちが染みるように理解できた。俺らどこまでもついていきます橘さん。

 

 

 そして、興奮冷めやらぬままにはじまった二幕。すぐに彼から目が離せなくなった。勝利をつかもうとコートを駆け抜けた少年たちの中で、試合を直視すら出来ずにコートの横で俯き続ける男の子。財前光その人だった。

 

 全国大会の準決勝である四天宝寺戦において、財前光は不遇と言えるのかもしれない。本来のダブルスパートナーである忍足謙也とは共にコートに立てず、ダブルスを組んだ千歳千里には「今の自分ではその強さの足元にも及ばない」と言葉すらなく突きつけられる。

 手塚国光とダブルスでありながら財前と同じように試合から外れた乾貞治はコートを見つめられるけれど、財前光はコートを試合終盤になるまで見据えられない。試合終了後に部員たちは財前光に駆け寄って頭を撫でてくれるけれど、財前光の2年生としての夏はもう終わってしまった。けれど来年度も、彼には全国大会の夏が巡ってくる。

 私は、歯がゆい悔しさすら滲んでくるような彼の夏に釘付けになってしまったのだ。

 

 

 観劇後に友人は、感想を尋ねてくれた。私はひたすら橘桔平と財前光の話をし続けたと思うし、彼女は笑って聞いてくれた。

 余談ではあるがその日の席は通路側で、橘さんと財前くんがハイタッチをしてくださった。ハイタッチの瞬間にはどうにか人間としての自我を保って笑顔になれたが、その後は「なまあったかかった、なまあったかかった」とうわ言のように呟くしかできない肉塊になり果てた。

 多分あの時に一生の幸運を使い果たしたので、この御恩は推しつづけることで果たさせていただきたい。

 

 それでもどうにかこうにか終演後には物販で橘さんのブロマイドを買うぐらいには人の形を取り戻して会場を後にできていたと思う。アンケートは裏面までびっちり埋めて郵送したし、売り切れだった財前のブロマイドは後日に後輩が代理購入してくれた。人の優しさに生かされていることを改めて実感したのもこの日だ。

 

 

 

 ここまで前置きしておいて何だけれども、私はこのタイミングではまだ財前にどハマりしていなかったし、世間でいう出戻りテニス*2もしてなかった。冒頭の諸事情にまだ心を引っ張られていたのもある。

 

 本格的にハマったのはこのあと、やはり友人にチケットを譲って貰って観劇したテニミュだった。

www.tennimu.com

 

 来る全国大会では、王者たる立海と青学の死闘と呼ぶに相応しい試合の数々が繰り広げられる。テニミュにはお約束があって、試合には前作のライバル校が応援席に出演してくれる。なので、この公演には四天宝寺の子たちが来ていた。

 全国大会の決勝ともなれば、立海と青学は鬼気迫る面持ちで試合に臨む。そんな中で四天宝寺の部員たちはコメディリリーフとして合間合間にあらわれては舞台を盛り上げてゆく。

 

 

 私の視線はやっぱり今回も財前光に釘付けで、観劇に支障のない範囲でもってほぼ財前の定点カメラと化していた。当たり前と言えば当たり前だが、準決勝で敗退した四天宝寺は全国大会決勝ではごく例外的な事情*3を除けば試合をしない。

 だからだろうか、財前の表情は準決勝の時よりも柔らかかったように見えたし、事実として肩の力が良い具合に抜けた立ち振る舞いすら見えた。けれどもその姿は、今年度全国優勝という圧倒的な目標が夢として終わったからだと思えば、嬉しいような悲しいような複雑な気分にもなった。

 

 全国大会の悲願をかけた試合で、実力差から対戦相手にもダブルスパートナーにも太刀打ちできずにコートに立ちつくしてしまって、それでも彼は2年生だから来年がある。けれど、財前光の2年生の夏は2度とやってこない。

 わたしはそんな、少しの報われなさと未来への可能性を全身に秘めた財前光を愛している。そう改めて実感したのもこの時だったと思う。

 

 

 財前ではなく舞台全体の感想を言うならば、「ふたつでひとつの生き物」「先輩と後輩」という関係性が三度の飯のように好きな私はゴールデンペア及びプラチナペア、記憶喪失のリョーマへの桃城の慟哭が膝に深く突き刺さった。そういう宝石のように光り輝く青春をお出しすることにかけて、テニプリは本当に天下一品だ。私が日吉若と切原赤也を好いている理由も推して知るべし。

 

 

 そしてこのころには、流石に自分がテニプリおよび財前光にどハマりしたことを認めていた。出戻りテニス女、ここに爆誕である。タガが外れた私は、鬼のように財前光への感情吐露ツイートを決壊したダムのごとくTLに放流しはじめた。実際のツイートも引用してこようかと思ったけれど、最近アカウントを移動したのでツイートは残ってなかった。無念。

 

 私事であるがこの頃ヤバすぎる弊社の退職が無事に決定し、精神的に余裕が出来たのものめり込む要因になった。そして退職したと喜ぶ私に退職祝いとして3rd四天宝寺公演の円盤を送り付けてくれた友人がいたり、退職祝いとしてキャラソンCDとテニミュCDを束でくれた友人がいたのも拍車をかけた。本当に私は周囲の優しさに生かされている。

 

 今まで触れてこなかったOVAを見たり、流し読み状態だった新テニを買い始めたり、テニラビ*4をインストールしたり、通りすがった実弟を捕まえてテニミュを見させてみたりと日々が充実していく実感があった。そして、いろんな媒体の財前光を見比べては彼への思いを募らせた。

 

 

 出戻りしてからは雨後の筍のように財前への感情を生まれさせては拗らせていく日々の中で、まじまじと財前光の顔を眺める機会も増えた。「あんなにこまっしゃくれた子なのに、眉毛の手入れはしていないところが中学生らしくてまた可愛い」「髪質がハネ気味なのも反骨精神のあらわれなのか可愛いな」だとかクソのような感想文未満のポエティックラブも日々生まれた。

 

 だからその日もまあ、いつものように財前光の顔を見つめていて、ふと彼の耳に目がいった。彼のトレードマークでもある5つのピアスだ。財前光の特徴を聞いた時に、多くの人は「五輪ピアス*5と言うだろう。財前といえば五輪ピアス、五輪ピアスと言えば財前。アニメ版では銀色だけど、5つもピアスつけてる中学生はテニプリワールドでも財前の他には中々いないのでやっぱり代名詞。

 

tenipuri.jp

 

 学校の校則的には良いんかなアレと思わなくもないけれど、そも財前と同じ四天宝寺テニス部員の忍足謙也全頭ブリーチなわけだし、そういうおおらかな校風なんだと思う。

 

 

 とまあそんな流れで「そういえば私も10数年前、財前に影響されて五輪ピアス開けようとしたな~」と笑いながら画面をスクロールしようとして、思考が止まった。10数年前、なんだって?

 

 私は日吉若と切原赤也が10数年前から好きで、周囲にもそのように伝えてきた。財前光について好ましくは思っていたけれど、そんなに話したことがなかったし、この10数年ほど彼を深く思ったこともなかったはずだった。じゃあ今私が思い出したこの記憶はなんなのか、しばらく目の前をグルグルさせるうちに、とあることを思い出していた。

 そういえば10数年前も、私は財前光が好きだった。

 

 

 ここからは半目で読み飛ばしてくれても構わない。

 

 10数年ほど前、私はテニスの王子様が大好きだった。影響されてテニスを始め、映画も劇場まで足を運んで鑑賞し、グッズもちまちまと集め続けていた。コミックスもファンブックも全巻買って本棚に並べて楽しんだ。ミュージカルやアニメまでは追いきれていなかったけど、いっぱしにファンと呼べる程には色々していたと思う。

 

 当時の私の推しは日吉若、切原赤也、そして財前光。ネットで画像を集めてみたり、原作の登場シーンを眺めてみたり、公式サイトを見てみたり。推し方自体はそんなに変わってない。

 ただ、茹るような夏の日なんかにジュースを飲みながらパソコン越しに、彼らに関わるコンテンツに触れているのが楽しくて仕方なかった。そんな記憶がある。

 

 

 そしてその頃、私は厄介な女に執着されて付きまとわれていた。今で言うなら「同担拒否ジャンル荒らし害悪オタク」と一言で表せる女なのだけれど、当時はSNSが今ほど普及していなかったのでこの概念すらなかった。

 もしあのときSNSがあったら、私のアカウントは愚痴まみれの怨嗟吐き出し場となっていた。そういう意味ではあの頃の私にSNSがなくて良かったとも思うし、SNSという感情吐露の場があればもう少し違ったのかなとも思う。

 

 彼女は独特の価値観を持っていて、何故かそれを私に押し付けるように毎日毎日まとわりついてきた。具体的に言うと、彼女はテニプリ原作を中盤つまりは都大会あたりまでしか読んでおらず、その先を履修しようとする気すらなかった。曰く「推しが出なくなってつまらないし読む価値も無い」そうだが、私はこのドブにも劣る彼女の持論を毎日のように無理やり聞かされ続けた。

 

 そして財前光の所属する四天宝寺中学は、リョーマの所属する青春学園と全国大会でかち合う。そう、全国大会編を読んでいなければ読者は決して四天宝寺の彼らとは出会えない。彼女は全国大会から登場してくる学校、たとえば比嘉や四天宝寺の存在を全く知らなかったのだ。

 

 

 自分の知らないキャラクターの話をする私を見て、彼女は何を考えたのかは分からない。けれど彼女は「そんな存在しないキャラクターの話をするな、この嘘つき女」と私を毎日のように罵りはじめた。今考えても全く意味がわからないし、当時も全く理解できなかった。

 腹に据えかねた私はコミックス全巻を持ちだし、彼女に最終巻まで私の目の前で読ませたりもしたけれど全くもって効果はなかった。私への暴言が「嘘つき女」から「先の展開をネタバレして私から楽しみを奪った女」に変わっただけだった。

 何より恐ろしい事にこの女の執着と付きまといは、私がその土地を引っ越して物理的に離れるまでほぼ毎日続いた。

 

 最初は他者など関係ないように気持ちを貫いていても、それが顔をあわせれば毎日、家にいるとき以外はほぼ全ての時間を付きまとわれれば鬱屈とした気持ちは降り積もる。

 

 あんなにも好きだった財前光が、目にするだけで頭の中に吐かれた暴言がよぎるようになった。楽しい気持ちより、辛い気持ちが勝ってしまった。テニスの王子様に関わるすべてが、彼女を思い出して吐き気がするようになった。『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』とはよく言ったものだと思う。コミックスもすべて売ってしまって、影響されて始めたテニスのための用品も処分して、手持ちのグッズも捨てて、テニスの王子様の話題を口にしないようになるのは、そうかからなかった。

 

 

 この辺り数年間の記憶は、無理やり思い出したこのエピソード以外は実はそんなになかったりする。人間の脳が辛いことから忘れるようになっているのは、幸いだったのかもしれない。

 

 月日が経つうちにトラウマじみた悪感情も何とか薄れて、テニスの王子様の話題を口に出来るようにはなったけれど、財前光への気持ちはどこかにすっぽ抜けたままだった。何もかも忘れてテニミュを見れたのは、逆に良かったと今なら思う。

 

 そしてこの一連を、私はいきなり前触れ無く思い出した。正直吐きそうにもなったし、涙も出た。悔しさも悲しさも消えないで未だある。

 

 けれど私の心の支えになったのは、やっぱり財前光を好きな気持ちだった。財前光を好きだと言っても、もう誰も私を罵らない。誰も私の『好き』を否定しない。私の『好き』は間違いなんかじゃない。そう気づけた瞬間に世界が弾けた感覚がした。

 テニスの王子様という素敵な作品をもう一度好きになれた喜びが、何よりも勝っていた。それを自覚してしまえば、テニプリを好きだと主張することになんの躊躇いもなかった。

 

 だから冒頭の一文を訂正するならば、今年の2月にテニミュを観たことがきっかけとなって、10数年越しに財前光に再度どハマりした。正しくはこうなる。

 

 

 

 まあ、その結果がこのような拗らせ夢保護者目線ツイートになるからオタクってガチでシリアス向いてないと思います。きっと死んでも直らないこの性根。

 

 

 色々と話が二転三転しましたが、要は私は今最高にハッピーという話題で締めたいということです。

 そりゃあもう毎日楽しい。財前光推してる生活にメリハリが出すぎて、ピアス用のニードルも知人に譲ってもらっちゃった。そのうち私も五輪ピアスになります。

 そもテニプリはコンテンツに触れれば触れるほど好きなキャラが増える。箱推しにならざるを得ない求心力の凄まじいジャンルなので、私は現在日々増える推しにニコニコしています。ダブルス、先輩後輩、2年生キャラはおしなべて私の膝に突き刺さる。

 

 「2年生が好きなら海堂薫はどう?」ともよく聞かれます。もちろん薫ちゃんも大好きです。しかし、私の推しになるということは私に地獄めぐりをさせられるということなので。優しい薫ちゃんをそのような目にあわせる事には流石に良心が痛むので彼を幸せな現世に留めているのです。わかって?私のなけなしの理性と良心を。祝福と寿ぎだけを薫ちゃんには贈りたい。

 

 

 話がだいぶ脱線しましたね?でも最後に言いたいのは、もう1つだけなんです。

 

 

 キャラソンがめったに出ない男、財前光がルームメイトと共にわちゃわちゃしてるお歌が出るよ。めでたいね。みんなこれ聞いてハッピーになろうね。

 薫ちゃんも日吉も赤也も歌う欲張りパックすぎて、曲の詳細出てきたときは私信かと気失いそうになったよね。

 命あるもの生きとし生けるものみんな購入してくださいネ。終わり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:今で言う害悪厄介オタクに付きまといされてジャンル離れした。詳細は後述するが飛ばして読んでも構わない。

*2:以前「テニスの王子様」ジャンルを推しており、数年後に再度ファンになること

*3:渡邊オサム回想試合のことである

*4:スマホアプリ「テニスの王子様 Rising Beat」のこと

*5:財前光のピアスは原作ではそれぞれ5色にカラーリングされており、その様子からファンの間で通称として用いられる言葉